【サッカー】日本代表 キリンチャレンジカップ2試合を振り返る
国際Aマッチデーに当たる3月22日(金)と26日(火)に、日本代表はキリンチャレンジカップと称して2試合、国際親善試合を行った。
22日(金)がコロンビアと、26日(火)がボリビアと対戦した。いずれも南米の国と戦っており、今年6月に参加する南米選手権を意識した組み合わせになっている。
日本代表戦は、1月~2月初旬のアジアカップを戦って以来になる。
今回の招集メンバーはアジアカップから半数近くを変えてきている。
日本代表戦は、年間を通しても限られた日数しかない。ベースとなる主要な選手はある程度決まっているだろうが、戦力アップを図るためには、今回のようにJリーグを中心に活躍している新たな選手を招集し、実戦で使うことはとても大切なことだと思う。
今回の2試合で、GK中村航輔を除いては全員出場している。それも2試合で先発メンバーを総入れ替えして、全員が先発メンバーとして長時間のプレー機会を与えられているのだ。
森保監督のこの姿勢はとても立派だと思う。
過去の多くの監督たちの時は、初招集されても試合に出場させてもらえない選手があまりに多く、せっかくの機会を活かさず本当にもったいないと思ったものだった。
22日(金)のコロンビア戦がいわゆるAチーム(レギュラー)で、26日(火)のボリビア戦がBチーム(サブ)で戦った。
結果は、コロンビア戦が0-1で負け。ボリビア戦が1-0で勝ちというものだったが、内容的には、コロンビア戦の方が圧倒的によかった。
コロンビア戦の布陣は以下の通り。
GK:東口
DF:左から佐々木、昌子、冨安、室屋
ボランチ:山口蛍、柴崎
MF:中島、南野、堂安
FW:鈴木武蔵
ボリビア戦の布陣は以下の通り。
GK:シュミット・ダニエル
DF:左から安西、畠中、三浦源太、西
MF:乾、香川、宇佐美
FW:鎌田大地
まず、コロンビア戦だが、さすがにハメス・ロドリゲス、ファルカオといった世界的名選手がいる格上チームなだけある。試合開始早々からコロンビアにかなり攻められ、ゴールポストに助けられる場面もいくつかあったが、日本も徐々にペースをつかみ、前半の途中からは、互角もしくは互角以上の戦いができていた。
出場メンバーはほとんど皆よかったと思う。
中でも、中島のドリブル突破、南野・堂安の積極性、右SB室屋の的確で積極的なオーバーラップ、左SB佐々木翔のカバーリング、オーバーラップなどがよく目立っていた。
しかし、私が一番目を見張ったのは、1トップに入った鈴木武蔵だ。フィジカルに強く、うまく体を使いボールを収め、最前線で攻撃の基点となっていた。新ビッグ3(中島、南野、堂安)とのコンビネーションもよく、かなりフィットしている感じを受けた。
ゴールこそ奪えなかったが、よい攻撃ができていたと思う。
一方のボリビア戦だが、先発メンバーを聞いて、あまり知らない選手も多く、非常に楽しみだと思った。
2列目に乾、香川、宇佐美といった昨年のロシアW杯のメンバーを持ってきているが、それ以外はほとんど新戦力といっていいだろう。特に1トップに入ったベルギーリーグで活躍している鎌田大地の動きには注目したいと思った。コロンビア戦でも途中出場したが、後半終了間際の投入ということで、動きの良し悪しはよくわからなかった。
相手のボリビアは格下(世界ランキング60位)ということもあり、ほとんど日本がボールを支配するが、なかなか効果的な攻撃ができていなかった。
期待の鎌田大地は最前線に張るというよりも、けっこう動くタイプのようで中盤でけっこうボールに触っており、攻撃の基点にはなっていた。しかし、相手に対し最前線での怖さは与えられていなかった。
キャプテンマークを巻いた香川も、試合開始早々は、それなりの動きを見せていたが、その後の大多数の時間ではほとんど目立った動きはできていなかった。
先発メンバー自体の動きは全体的に悪くはないのだが、特にインパクトを与えることはできなかったという感じだ。
よかった選手を挙げるとすると、まずは左SBの安西だろう。積極的にオーバーラップを仕掛けており、攻める姿勢を見せていた。左SBは森保ジャパンでは佐々木が第1候補になるのだろうが、安西でも十分に戦えると思った。
あとは、乾、次いで宇佐美といった感じだろうか。
乾はさすがに技巧派で、動き、ポジショニングが秀逸。惜しいシュートをいくつも放っていた。
宇佐美はちょっと物足りなさを感じられたかもしれないが、守備範囲も広く、ドリブル、長短交えたパス、そして乾との流動的なポジションチェンジをみせたりしながらそれなりの動きはしていたと思う。
しかし、この先発メンバーでは決定的な結果を残すことはできなかった。
後半途中から、新ビッグ3(中島、南野、堂安)が入り、攻撃が活性化された。
特に中島の突破力は半端ないと思う。相手守備陣を翻弄するかの如く、ドリブルで切り裂いていく。
そんな新ビッグ3の連携により中島のゴールが生まれた。さすがというしかない。
新ビッグ3と鎌田大地のコンビネーションも注目したが、特筆すべきものはなかった。
後半の最後に鎌田大地と交代で1トップに鈴木武蔵が入った。短い時間だが、見せ場はいくつか作ってくれた。
基本的に最前線で基点になれる動きをしてくれるので、相手にとって脅威的な存在になりえる。本人としてはゴールという結果が欲しかっただろうが、私はこの2試合で十分にアピールできたと思った。
次の日本代表戦は6月上旬に2試合、日本国内で国際親善試合を行い、すぐにブラジルで南米選手権を戦う。
指揮官にとってみれば、招集期間は短いしこま切れになっているので、チーム作りやメンバー選考はとても難しいと思う。
しかしながら、サッカーファンとしては、代表戦を見ることほどの楽しみはない。
これからの日本代表にも注目していきたいと思う。