【映画】【音楽】「蜜蜂と遠雷」を見て、初めてクラシック音楽家の神髄を知った!
「蜜蜂と遠雷」。この映画はずっと見たいと思っていた。
恩田陸の小説は読んでいなかったが、本屋に行く度に、山積みになっているこの本をいつも読みたいなぁ、と思っていた。
少し前に、ラジオ番組(J Waveの村治佳織か葉加瀬太郎の番組、どちらか忘れてしまったが)でゲストに森崎ウィンが出ており、この映画の話をしていた。
森崎ウィンという人について、それまで知らなかったのだが、ミャンマー出身で日本在住の俳優とのこと。クラシック音楽のピアニスト4人が主人公なのだが、そのうちの一人を演じていた。
4人が4様のスタイルでピアノを弾くのだが、この4人の俳優に対し、それぞれプロのピアニストが一人ずつついて演奏しているというのもとても興味深かった。
凄い映画だった。
凄い衝撃を受けた。
クラシックの音楽家がどれほど大変なのか、壮絶な世界だということをまざまざと感じさせられた。
私はけっこうクラシック音楽が好きで、自分ではクラシック音楽ファンだと思っていたが、音楽家、演奏家、特にソリストのことを何もわかっていなかったことを恥じる思いになった。
客席で、のほほんと聴いていることが、どんなに楽なことだろうか、と思う。
ステージで演奏している人たちは、我々の知らないところで、とてつもないプレッシャーと、そして自己との葛藤と戦っている。
協奏曲は私も特に好きだが、これなど、ソリストは指揮者、そしてオーケストラの団員との決闘ともいえるということを知らされた。
指揮者はいわばオーケストラの監督だ。常任指揮者ならある程度のことがわかると思うが、客演公演はそうはいかない。本当に大変だということを実感させられた。
指揮者もそうだが、団員もそうだ。
そこに、協奏曲でソリストが入ってくると、さらに複雑になる。
指揮者の能力、才能は当然大事なことだが、指揮者の人柄というのは、本当に重要な要素だと思ったりした。
クラシックの音楽家は、私のような素人からみると皆天才なのかもしれない。
コンクールの課題で作曲もするし、即興で演奏もする。
ピアニストがピアニストを即興で合奏したりするのだ。
すごい世界だ。
音楽とスポーツは、世界の共通語でもあるし、私はいずれもとても好きで、けっこう比較したりするが、クラシック音楽の世界は別格だと思った。
プロのサッカー選手になるのは本当に大変だ。しかし、プロのクラシックの音楽家になるのは、そんなものとは比較にならないほど大変、というより過酷なことだということを感じさせられた。
これからは、そういうことを思いながら、クラシックの演奏会を聴いてみたいと思う。
クラシック音楽を聴く楽しみが増えた。
今回、演奏しているプロのピアニストは、河村尚子、金子三勇士、藤田真央、福間洸太朗の4人。
この4人の中で知っていたのは金子三勇士だけだったが、プレイスタイルは四者四様なので、改めてそれぞれ聴き比べてみたい。
特に、鈴鹿央士(新人俳優とのこと)演じる風間塵の演奏は圧巻そのもの。これは藤田真央というピアニストが演奏しているようだが、この人の演奏は特に聴いてみたいと思う。
あと、おもしろかったのが、ピアノがスタインウェイ、ヤマハ、そしてカワイの3つのメーカーのものを使っていたことだ。
だいたいのコンサートホールではスタインウェイが使われているものだと思っていたが、主人公の松岡茉優演じる栄伝亜夜はカワイを、鈴鹿央士演じる風間塵はヤマハを使っていた。
カワイのピアノには、「SHGERU KAWAI」と筆記体のような字体で印字されていたのには目を引いた。「SHIGERU KAWAI」の表記は今まで見たことがない。実際に使われているのだろうか?
ピアノの演奏シーンは圧巻だ。
コンクールの予選から本戦までの数週間ほどを描いただけなのだが、映像に引き込まれ、あっという間の2時間だった。