【文学】沢木耕太郎 「一号線を北上せよ」年を重ねても旅に出たくなった。伝説の名著「深夜特急」の続編的紀行文集。
「一番好きな本は何か?」と尋ねられたら、間違えなく沢木耕太郎の「深夜特急」と答える。
「一号線を北上せよ」が発売されたのは2003年2月だが、その直後に購入し読んだ。
今回は17年ぶりの再読ということになる。
出版社こそ違うが、カッサンドールの絵が表紙なのも「深夜特急」譲りだ。
やはり沢木耕太郎の紀行文はいい。
この本は、「一号線はどこにある?」から始まる8編の短編から成る。
作者自身のヴェトナムへの旅を中心に書かれている。
しかし、8編すべてがヴェトナムへの旅について書かれているのではない。
ヴェトナムへの旅については3編。
その他は、ロバート・キャパをモチーフにしたパリへの旅、アメリカ アトランティック・シティでのボクシング観戦記、作家 檀一雄への追憶を求めたポルトガル サンタクルスへの旅、オーストリア キッツビューエルへのアルペンスキーのワールドカップ観戦記、そして「深夜特急」の旅の追憶を求めたスペイン マラガへの旅についてである。
「深夜特急」のような連続された旅の紀行文ではないが、とても楽しい旅の数々だった。
今の私は、沢木耕太郎が「深夜特急」の旅をした年齢の倍ぐらいになる。
「深夜特急」の旅に憧れ、私も学生時代にはバックパックの旅に出ていた。
今の私の年齢では、「深夜特急」の旅は難しいだろう。
しかし、「一号線を北上せよ」の旅なら今の私でも出来るような気がする。
そんなことを思ったりした。
改めて強く旅に出たくなった。
(2020年8月14日読了)
(2020年9月3日記)